技術考察 - Adam Lambertさんの歌唱


Adam Lambertさんを目指したい方へ。


声の特性・歌の特徴


アダムランバート

【声帯・声質】 ■クリアボイス寄りの全体振動クリアハスキーボイス
口蓋喉頭筋の意識をし、喉頭のポジションを上げて共鳴感のある声が特徴的な全体振動の地声まで作り上げています。側筋、甲状舌骨筋などで地声寄りのミックスを出したり、
後筋、茎状咽頭筋、口蓋喉頭筋、胸骨甲状筋などで、ウィスパーボイス、ファルセットミックスを作り、呼気を強めることで、舌骨筋群、輪状咽頭筋、内喉頭筋群、胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋がより活発に働き、クリアハスキーであってもクリアでありながら、深みと突き抜けた声が印象的なミドルボイス、ヘッドボイスまでも表現しています。

【呼吸法】 ■複式呼吸 ※複式呼吸の解説はこちらをご覧下さい。
メロディーとメロディーの間に行うブレスの量の多さ、ブレスをする瞬間の胸郭の開き具合、声を張りながら細かい抑揚や大きい抑揚をかけられる状態、使用する空気の量が少ないこと、濃密で突き抜ける声も出すことなどから、腹式呼吸だけではないことがあきらかです。

腹式呼吸だけでは、彼のようなスーパーヘッドボイスをあの高音まで出すのは無理でしょう。
もっと声門下圧がかかりがなるようなシャウトボイスになってしまうはずです。
彼のような綺麗で滑らかなコントロールで有りながらも、必要な時には声門下圧をかけられるなど、まさしく、内肋間筋と最内肋間筋の分離と、結合が自由自在にできる複式呼吸であることは間違いのない事実でしょう。

本人は腹式呼吸を意識することなく、ブレスをするときは胸郭が上がることなどを考えると自然な横隔膜運動の呼吸と、息が声に変わる音の還元率を高めるための息の吐き方、呼気のかけ方をしているような印象を持ちます。
そのため、「声」で高い声を出しているというよりは「音」に対して「地声に聞こえる成分」を混ぜて発声しているという聞こえ方に思います。まさしく、自分の声帯、共鳴、ポンプなどを自在に操り、感情表現論の生命のリズムを入れ、各器官を自在に楽器にできていると言えます。

【呼吸】 ■息を「吸う」と「取り込む」 ※吸うと取り込むの違いはこちらをご覧下さい。

「息を吸う」と共に外肋間を使い、「取り込む」ブレスが印象的です。

【発声】 ■ミックス型のブレンド ※カテゴリ解説はこちらをご覧ください。
地声から余計な力みがなく、喉頭懸垂保持機構の外喉頭筋が全体的に作動し、ミドルボイス、ヘッドボイスまできれいに移行しているところからミックス型と言えるでしょう。
喉に力みは無く、細かい抑揚やビブラートも難なく表現できる発声と言えます。

【発声ベース】 ■ 全体振動の純正の裏声ベース
中性的な声が印象的なチェストミックスや、余計な力みがないやわらかな地声に聞こえる地声寄りミックス、呼気圧が過剰でない時にはブレイクがないこと、様々な声区を自在に行き来したり、張りながらも細かな抑揚がたくさん盛り込まれている、ミドルボイスを出しても楽々とフェイクやビブラートをしていることや、声全体に共鳴感がありつやがあること、
それでいてが喉頭が過剰に上がった喋り声ではないこと、胸骨甲状筋が意識されすぎていないこと、肋間筋ポンプの抑揚が多いこと、アウターを使うことでの声の大小の抑揚がでること、アウターのポンプとインナーのポンプを自由にミックスしたり、切り離して使うことができている抑揚になっていることからなどから、全体振動の純正の裏声ベースではないかと思います。
どの声区をとっても余計な力みがなく、歌唱に必要な神経支配が行き届いている歌声に思えます。

【喉のポジション】 ■高めのポジション
高めのポジションでありながら、胸骨甲状筋、舌骨筋群、茎突咽頭筋、輪状咽頭筋をベースに口蓋咽頭筋がしっかり使われ、迫力のある高音を楽に出せる力のバランス、ポジションといえます。

【主に使用している声区】 ※声区の解説はこちらをご覧ください。
アダムさんの曲をいろいろ聞いてわかるように、曲によって声区が異なりますが、使っている声区は、ファルセットボイス以外の全てといえます。

全体振動のチェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイス、 部分振動のチェストボイス、地声寄りのミックス、部分振動のヘッドボイス、チェストミックス、ミックスボイス、ヘッドミックス、ウィスパーボイス、ファルセットミックス、ヘッドファルセットミックス。

【共鳴】 ■硬口蓋中心、アデノイド、口腔、上顎意識
クリアハスキーボイスでの裏声ベース。硬口蓋中心、アデノイド、口腔、上顎を意識することで、裏声ベースの突き抜ける高音、透明感な中にも太みと深みがあり、力強い声が表現されています。

【ピッチ】 ■ 相対ピッチ感は440.8Hzのナチュラルシャープ
多少の過剰呼気圧によって、声帯の緊張と共に、引き下げ筋群が強くなり、喉頭のポジション自体も高めになっているのもありますが、声が音の波に乗って抜けがよく、心地よく響いて来ることから常にナチュラルよりも多少♯感のあるピッチをとっている彼の相対ピッチ感は440.8Hzのナチュラルシャープです。

【テンポ】■32.5分休符理論 裏々のテンポ感
テンポの解説はこちらをご覧ください。
32.5分休符理論を用いることで、深い「タメ」と「ノリ」、が作られていて、疾走感やドライブ感が表現されています。

【リズム】 ■生命のリズム
リズムの解説はこちらをご覧ください。
生命のリズムを感じとることで、躍動感のある歌唱を表現しています。
生命のリズムにより、曲全体にスピード感や、臨場感を感じる歌唱を実現しています。

【グルーヴ】 ■後ノリ、前ノリ
※グルーヴの解説はこちらをご覧ください。
この二つのグルーヴ感によって、深く大きいタメを感じたり、浅く細かく感じたりする事ができます。
このノリの幅が大きければ大きいほど抑揚感が深くなっていきます。

【使用しているポンプ】
アウターポンプ(腹筋や背筋)
インナーポンプ(肋間筋群全て)
滑舌ポンプ(舌の破裂音、摩擦音の強調)
顎のポンプ(顎を上下に動かすこと)
喉のポンプ(喉を上下に動かすことでフェイクやビブラートの輪郭をはっきりとさせます)

【滑舌】 ■繊細でソフトでありながら鋭い滑舌
Aメロの低い音程でこもりがちな部分もしっかり際立っていることから、顎のポンプを意識して言葉の輪郭をはっきりとさせている印象があります。呼気圧とは別に、最内肋間筋や、滑舌ポンプ、顎のポンプを強くすることで、破裂音、摩擦音が強く発せられています。
発声においては、呼気圧の強さと滑舌の強さを分けて使っているので、ピッチや発声は安定しながらも、「強烈なパワー感」を与えています。滑舌を強くする=息を強くだす、多く出すということを行ってしまってはすぐに喉が痛くなってしまいます。発声のための呼気圧と滑舌の鋭さのポンプを別にすると彼のようなコントロールが効きながらも迫力のある歌声が実現できます。

【抑揚】
抑揚1番(滑舌や顎のポンプによってつくられた細かなリズム)
抑揚2番(肋間筋を使うことでの音のスピード感やフェイクの輪郭をはっきりさせる立ち上げるリズム)
抑揚3番(背筋や腹筋などアウターのポンプを使うことで生まれる大きなリズム)
様々な曲を聞いて、抑揚1番と2番中心の歌唱といえます。

【まとめ】
アダムランバートさんの誰もが羨む突き抜ける高音の歌は 「喉頭のポジション」 「発声ベース」「共鳴」「立ち上がりの早い滑舌などを作り上げる様々な各ポンプ」 声のスピードを自在に変え、左右に深く揺さぶるタメの深い「グルーヴ」とそのミックスよってすべてが表現されています。


技術習得へのプロセス


■喉のポジションが低く地声で高い声が出しづらい方には喉のポジションを上げるために口蓋喉頭筋の意識によって高めの地声を出せるようにします。

■喉の力みを取り去り、喉を解放することで裏声ベースのミドルボイス、ヘッドボイスを出せるようにします。

■喉のバランス、調整をした後は、楽に突き抜ける高音を習得するために、アデノイド、硬口蓋、口腔、咽頭腔をミックスし、アダムさんの声質を習得します。

■テンポの取り方を32.5分休符理論に基づいて訓練をし、リズムの1番、2番、3番を理解習得することで深い抑揚を可能にする技術を訓練します。

■前ノリ、後ノリを理解して、スピードの変化、共鳴の変化、声量の変化によって立ち上げるという深くも細かい「ノリ」を作ります。

■肋間筋と喉のポンプを用いてはっきりとしたフェイクを作っていきます。

■アウターポンプとインナーポンプの使い分けを習得することで、早く細かいフェイクを可能にしながら、張った声でもフェイクができるようになるポンプを習得します。

■抑揚1番、2番、3番の理解、習得によって本人たちの抑揚を手に入れます。これは訓練すればだれでも必ず手に入れられます。

■特殊な訓練を用いて、相対ピッチ感をナチュラルシャープにし、突き抜ける聞き心地の良い歌声にします。

?■64分音符中心に、32分音符のハンマリングボイス、プリングボイスを習得していただきます。

■柔らかいタッチや鋭いタッチの英詩発音レッスンも行わせていただきます。
他必要なものがあればすべて改善し、技術をカスタマイズして行きます。


技術習得まので期間


■6年〜10年
これはこれから歌を始められる方を対象とした期間です。この期間は一つの目安であり、実際の技術習得には個人差があります。


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